ステロイド外用薬は、アレルギー性皮膚炎に対して治療効果の高い薬です。ただし、ここには一つ条件がつきます。それは「正しく使えば」ということです。ステロイド外用薬に本来の力を発揮してもらうためには、量だけでなく、ぬり方についても注意が必要です。多くの人が、外用薬を肌にすり込むようにぬっています。なんとかして治したい!薬が効いてほしい!と念じながら一生懸命にぬっているのです。そのほうが効きそうだと思いがちですが、実は、ここに落とし穴があります。というのも、炎症を起こしている皮膚炎の肌は、腫れてデコボコになっているからです。薬をすり込むようにぬった場合、肝心の炎症を起こしている部分には薬が残らず、患部の周辺に広がってしまいます。薄くぬった場合も、炎症部分が露出するような状態になり、本来の治療効果が望めません。がんばって、一生懸命ぬっていたために、いくらぬっても治らないという皮肉な結果になっていたのです。ステロイド外用薬をぬる際は、基準に合わせた正しい量を、すり込まないで「のせる」ようにぬるのがポイントです。アレルギー性皮膚炎の肌は、スキンバリアが破壊されているので、すり込まなくても外用薬の成分は十分に吸収されます。その逆に、強くすり込むことで、さらに皮膚を傷つけることにもなりかねません。薄くなりすぎないように気をつけながら、患部に薬を厚くのせて、覆うようにぬります。そうすることで、炎症を抑えることができるのです。薬の量や使い方を正しく守れているか、これは治療の効果に直結します。